comヒロ日記
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↑第一話




歩を進めるごとに、逢坂駅が近づいてきた。



お世辞にも都会とは言えないが、駅周辺はそれなりに栄えている。

町の中心に近づくに連れ、周囲の建物もその形がより洗練されていく。




ふと、横切ったショーウィンドウのガラスに、【私】の姿が映る。

私は、この鏡のように磨き上げられたガラスを毎日・・・



本当に毎日、見つめてしまう。





別に、服や髪型を気にしているワケではない。



見つめている先は・・・顔。







そして、十分に眺めたその後、ゆっくりと顔を撫でる。




頬、


目、


口、


アゴ、


おでこ。









・・・本当に、ある。








たしかに、私は自分の顔を触っている。触れる。

この顔が自分のモノだという実感を、確かめるように。



とても普通の人間がする行為ではないだろう。





しかし!

【ワタシ】にとって、それがどれほど素晴らしいことか!!







その至福の時間は約30秒ほど続いた。




今朝の寒さに、いくぶん元気がなかった彼女の表情。

だが、自らの顔を眺めた彼女の顔は、あきらかに晴々としている。


顔を上げた彼女の眼前には、逢坂駅が迫っていた。






一定のリズムを奏で、電車の音が近づく。


まばらだった人の影が、次第に構内を埋めていく。





ホームでの待ち時間もなく、電車がやってきた。


慣れた足取りで指定席の【カド】に座る。








これが、いつも決まった通勤スタイル。








だけど、まぎれもない



新しい、あさ。








こうしてまた、彼女の新しい一日は始まっていった。










同じ町に住む、自分とは違う人達もまた。







彼女もまた、その中の一人として。

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